イングヴェイ・マルムスティーン - ファー・ビヨンド・ザ・サン (Yngwie Malmsteen - Far Beyond The Sun)

よ~し、次はこれを聴け!

アーティスト: ファー・ビヨンド・ザ・サン (Far Beyond The Sun)
タイトル: イングヴェイ・マルムスティーン (Yngwie Malmsteen)
Far Beyond the Sun - Rising Force

前回のバッハでの投稿は大自然の摂理にまで言及してしまい、我ながら力が入ってしまった。しかし今回もその勢いを失わないよう、バッハから強い影響を受けたハードロック・ギタリストを紹介する。

イングヴェイ・マルムスティーンである。

はじめて名前を聞く人にとっては覚えにくい名前かもしれないが、ロック界でギターヒーローを語る時に彼の名を避けて通ることはあり得ない。特に 70~90年にかけて色々な革新的ロックギタリストが登場したが、その中でも他を圧倒して別格的にインパクトを与えた一人であるイングヴェイ。私にとっても衝撃的な存在だったので、いつかここで語りたいと思っていた。

イングヴェイ最大の功績は、ハードロックで「速弾き」という概念を確立したことである。速弾きとは、文字通り細かく刻まれた音符のフレーズを速く弾くことを指す。それがあまりに高速になった時、一音一音ずつを個別に聴きとることができなくなり、全体感を持った「ストリーム」を浴びるような効果を生み出す。特にイングヴェイは「左手系」の奏法(ハンマリング・プリングやタッピング)に頼らず「右手系」の奏法(オルタネイトやスイープなどのピッキング)による正確無比な超高速演奏を実現し、世間を驚愕させた。これにより、滑らかではなく粒の揃ったような音の効果になるのだが、かなりの演奏テクニックを要するのでプロのギタリストとはいえ誰にでもできるものではない。(上記、タッピングのことを右手を使うにも関わらず「左手系」と呼んでしまったが、要は左手側にあるフレット上で音を出すという意味で分類した。)

で、イングヴェイの魅力はこうした速弾きの表現力に加え、それを駆使した「激情的」な音楽性にある。クラシックから影響を受けた叙情的なメロディや曲展開、「ハーモニックマイナー」というメランコリックな音階の多用、フロントピックアップに設定にしたストラトギターをマーシャルのアンプにつないで作られる「泣き」のトーン、チョーキングなどの長い音符と速いパッセージの緩急技、といったベースの上に、ギターを寵愛するかのように孤高にひたすら「弾きまくる」スタイルがイングヴェイ音楽である。

音楽系譜上は、このブログで既に紹介したバッハやリッチーブラックモアとの関連が深い。ちょうど前回紹介したバッハのブランデンブルグ協奏曲でのチェンバロにもそれが見てとれる。ただし、このチェンバロがバイオリンやフルートなど他楽器との共存を感じさせたのに対し、イングヴェイには基本的に共存繁栄的な雰囲気はなく、最初から最後まで筋金入りの唯我独尊の演奏を展開する。言い換えると、その自己陶酔ぶりが音楽という形で表出したのがイングヴェイという存在とも言える。また、このブログで過去に2度紹介した様式美ギタリスト・リッチーブラックモアからの影響も測り知れない。音楽的にもキャラ的にもリッチーの自然的延長であり、音楽的次世代バージョンがこのイングヴェイであったと極論しておく。

今回紹介する曲「ファー・ビヨンド・ザ・サン」は、1984 年にイングヴェイがソロとして初めて発表した「ライジングフォース」というアルバムに入っている曲。この原曲もいいし、新日本フィルハーモニーとコラボのコンサートで演奏したバージョンもよい。映画を観るような冒険ストーリー的な展開を、彼のトレードマークである孤高の速弾きと激情的音楽性をもって聴かせる。

何かに立ち向かう時、自らを奮い立たせるのに向いた曲だ。



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2011-03-22 Hard Rock Trackbacks::0 Comments::0

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