種ともこに会えた話・その2 (カプースチン - Toccatina)

種ともこに話を戻す。会場キャパは小さいので、少なくとも物理的距離では十分お近づきになれるチャンスだ。1985 年以来聴き続けたアーティストに対し、お世話になった感謝の言葉を直接述べることができれば、人生の満足度、達成感も格段に上がろうというものだ。

演奏がはじまり、Moment Strings Quartet の演奏がひと段落したのち、いよいよ種ともこ登場がアナウンスされた。

その瞬間はいとも簡単にきた。長年聴き続けたアーティストは、おとぎくが座るテーブルの真横をすり抜け、ピアノに座った。「笑ってて」と「出町柳」といった二曲を披露。音源で聴くのと同じ声がライブで再現される。同じ空間でその時間が共有されていることにしみじみとした感慨が湧き上がる。

しかし、せっかく最前列でベストポジションを取ったと思っていたのに、奥のピアノに座りながらの演奏のため、コーラスの戸田和雅子とかぶさって顔が見えない。冷静を装いながら、もう少し右に寄ってくれ!と祈るような気持ちで戸田和雅子を見つめていた。彼女のコーラス自体はよかった。出過ぎず抑え過ぎず、役どころは地味ながら流石ベテランのプロな仕事をしていると思わせる。

戸田和雅子のポジションがそのうち微妙にずれ、やっと種ともこの顔が見れるようになってきた。しかし、見れたら見れたで、なんか嬉し恥ずかしいような感覚がある。こっちは25年ぐらい聴いているのだが、向こうはこっちのことを何も知らない。そういう人物が現に間近にいる時の二曲なんてあっという間だ。あと2時間は演ってほしいが、すぐに演奏は終わりイベントは小休止に入った。

小さいイベントのよいところは、プライベート感覚に浸れることだ。東京倶楽部というジャズクラブもアットホームな雰囲気のある店で、ついた席のテーブル近くには種ともこ目当ての客が多かったので、軽くニッチな会話を交わすことができた。

そんな休憩中に、なんと種ともこが募金箱を携えてステージ前に登場。今回はピアノ前ではなく、おとぎくのすぐ横に立ち、距離にして20センチ。しかし急に来たのでビビるおとぎく。震災支援の募金をお願いする声がすぐ横から生で聞こえるのである。さっそく募金をし、種ともこと握手することができた。この短い瞬間、話しかけるチャンスがあったかもしれないのだが、言葉が出てこず不発に終わる。このような状況で短く、意味が伝わり、インパクトもある最も適切なフレーズって何だったのだろうか。

さて、そんなメモリアルなイベントを噛みしめる間もなく、小休止後に度肝を抜かれた。
これを聴け!

アーティスト: カプースチン
タイトル: Toccatina op.40

カプースチンという人の名前を聴くのは初めてだったが、ウクライナ生まれ・ロシア育ちの作曲家、ピアニストとのこと。クラシックとジャズを合わせたような、斬新的ですごくカッコいい音群のオンパレードだ。演奏曲目を忘れてしまったので、とりあえず YouTube で発見したこの曲を紹介。あまり知られていないのは、難易度が高いためあまりライブ演奏されないからではないだろうか。上原ひろみなんかもこうした作曲家からインスパイアされているのかなと想像する。

そんなカプースチンを演奏したのは若手ピアニストの重松華子。シュシュというユニットを結成しているが、この日は単独でのオープニングアウト出演。「カプースチンは結構難しいんですよね~」と言いながら、超絶技巧で難なく弾きこなし、短い時間で強い印象をうけた。彼女も今後の活躍に期待したい。

第二部の演奏も終了。

イベント終了後の「まったりタイム」に突入だ。Moment Strings Quartet重松華子など今日の演奏者と話した。みんな気さくに話せるメンバーだった。そういう間にも、あの種ともこが普通にそのクラブの中にいて一般人のように会話している。

おとぎくは、とうとう種ともこに話しかけた。

(次回へつづく)

2011-04-18 Japanese Trackbacks::0 Comments::0

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